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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】


「知ってます。ここからそんなに遠くないですよ。大通りの先にある家で――」

「そこ以外は?」

「はい?」

質問の意図がわからない。そこ以外って何が?

オソマツさんは淡々と続ける。
「大通りのほうの家はいい。そいつが他に土地を持っているかどうかなんだけど。愛菜は知らないんだな?」

「あ、あの……? それはいったいどういう意味ですか……?」

「いや、いいよ。わかった。今のは忘れて。んじゃ、行ってくる。ここにいろよ」

オソマツさんは立ち上がると、さっさと部屋を出ていってしまった。

「オソマツ兄さん! 待って! 今からすぐに行くの?」

ジュウシマツさんもあとを追って出ていく。

あとに残された私はベッドから起き上がった。ぼんやりと今の会話を反芻する。

他の土地があるかどうか? なんの話? そもそもなんで急に彼の話をしてきたの? 今からどこへ行く気なの?

私はベッドから出ると、慌てて服を着た。

やっぱりここで待ってなんていられない。

首を突っ込んじゃいけないのはわかっている。でも私はもう水じゃない。ワインを選んだのだから、少しぐらいは関わってもいいんじゃない? 

壁にかけられた鏡を覗いて、簡単に髪を整える。首から胸にかけていくつもの小さな痣があるのが目にとまった。オソマツさんが残したキスの痕だ。

何か少しでもオソマツさんの力になりたい。

私は痣を撫でると、鏡に向かってうなずいた。部屋から飛び出し、オソマツさんのあとを追いかける。

「オソマツさん! 待って!」

階段を駆け下りると、玄関のドアをちょうど開けようとしているオソマツさんが見えた。

「愛菜?」

振り返ったオソマツさんの元に息を切らしながら駆け寄る。

「ま、待ってください! 私も連れていってください!」

「は!? なんで?」

「なんで……って言われると困りますけど……とにかく放っておけない気がしたので……」


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