第7章 ハロウィンナイトは危険なあなたと【十四松】
(え? なんで? 全然動けない! 声も出ない……!?)
愛菜は、固まったまま、目の前の十四松を見つめた。
「ねえ、ぼくに少しだけ血をちょうだい……?」
十四松は愛菜の耳元で甘く囁くと、ふぅっと息を吹きかけた。
(あ……!)
瞬間、愛菜の服が勝手にほどけ、はらりと落ちる。
(嘘! 服が勝手に……!)
愛菜は、何一つ纏わず、生まれたままの姿になっていた。
(いや! 恥ずかしい……!)
まだ体は動かない。隠したくても隠せず、愛菜は固まったまま、立ち尽くすことしかできない。
十四松が愛菜の裸体を眺め、溜息を漏らした。
「きれいだよ、愛菜ちゃん……ずっと見たかったんだ、愛菜ちゃんの服の中……」
十四松は、愛菜の顎を掴むと唇にキスをした。
「っ!」
ゆっくりと舌を這わせ、愛菜の唇を味わう。何度も何度も舌を往復させ、恐怖で強張る愛菜の唇をほぐしていく。
(あ……いや……でも……気持ちいい……私、今、十四松くんとキスしてる……)
付き合い始めてから、愛菜と十四松は、まだキスさえ交わしていなかった。
愛菜は体を硬直させたまま、十四松の甘く濃密な初めての口づけを受け止める。