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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第35章 水とワイン/Água e Vinho【おそ松/マフィア松】


《愛菜side》


私はガチガチに緊張しながら、目の前の肉にナイフを入れた。なんとかひと切れカットすると、震える手で口に突っ込む。柔らかいから高級な肉であるのはわかる。でも肝心の味がわからない。

無理やり飲み込むと、ナイフとフォークをそっと置いた。

「あ、あの……」

目の前では同じ顔をした六人の男が並んで食事をしている。私はなぜか真っ赤なイブニングドレスを着せられ、高そうなルビーのネックレスをつけられ、彼らと一緒に食卓に座らされていた。


マツノ・ファミリー。

シチリアに住んでいる者なら一度は聞いたことがある。この辺いったいを牛耳る六つ子のマフィアだ。

「どうした、スィニョリーナ? 口に合わないか?」
青色のシャツを着た男性が心配そうに眉を下げる。

「い、いえっ! おいしいです!」

「そうか? なら、いいが……。ああ、借り物のドレスだと思って緊張してるのか? 別に気にしなくていい。それは似合ってるからプレゼントするよ」

え!? このドレスを!? 

どう考えても安い品物ではない。ましてやマフィアから貰い物をするなんて恐ろしすぎる。

私は慌てて首を振った。
「とっ、とんでもないです! いただけません!」

「でも、オソマツにそのネックレスをもらったんだろう? 併せてドレスも持っていたほうがいい」

「ネックレスをもらった!? まさか!」

私は反射的に首元に手をやった。

ゴールドのチェーンに美しく輝く大きなルビー。いったいいくらするのか想像もつかない。

真正面にいた赤いネクタイの男性がワインを飲みながらニヤニヤと笑った。
「あげたんだよ。君に」

彼はさっき私がワインをかけてしまった男性だ。マツノ・ファミリーのドン、オソマツ・マツノ。

「で、でもなんで……。私、あなたのスーツを汚してしまったのに……。弁償しろと言われるならまだしもこんな高いものをいただくなんて……」

意味がわからなすぎる。


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