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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第34章 イジワル上司の松野さん【トド松】


「お……お疲れさまです……!」

跳ね上がる心臓。顔が熱くなるのがわかる。

松野さんと同じ部屋にいるのに耐えられなくて逃げてきたのに。よりによってバッタリ会うなんて。

下を向いて会釈すると、私は松野さんの脇を通り過ぎようとした。

「っ! ちょっと待って!」

腕を掴まれ、止められる。

うそ……。最悪……。

仕方なく私は振り返った。

「な、なんでしょう?」

「なんでしょうって。奥田くん、今日はなんか変じゃない? どうしたの?」

変?

変なのは松野さんだよ。突然優しくなって。

「変って何がですか? 私はいつもどおりです。ちゃんと仕事もしてますし」   

「仕事の話じゃなくて!」
松野さんが声を張り上げた。

驚いて顔を上げると、松野さんがハッと我に返って周りを見回した。

廊下には私たち以外は誰もいない。扉の閉まった奥の部屋から微かに人の話し声が聞こえるだけだ。

私はゆっくりと松野さんに向き直った。

「仕事の話じゃないって言われても、仕事の話しかしようがないです。ここは会社ですから……」

「…………」
松野さんは悲しそうに眉をひそめた。

私たちは上司と部下。仕事のこと以外、何を話すというの?

「あの、部屋に戻ってもいいですか? まだ作業が終わってなくて……」

「だめ」

だめ? なんで?

松野さんは私の腕を離すと、今度は両肩を掴んで体ごと押してきた。後ずさってしまい、壁に背中が当たる。

「だめって、どうしてですか……」

松野さんが勢いよく私の顔の横に手をついた。苦しそうな瞳が目の前にくる。

「奥田くんなら、わかってるでしょ?」

「わからないです……」

わかるわけない。だって忘れろって言ったのは松野さんなんだよ?

「嘘ばっかり。今日は朝からずっとボクと目を合わせないようにしてたよね? 仕事の指示をしてるときでさえ、目をそらしていた。ねぇ、ボクと打ち合わせをしながら何を考えていた? ボクに抱かれたい――そう思ってたんじゃないの? ボクと昨日の続きをしたい。違う?」

松野さんが膝を曲げた。顔がさらに近づき、頬に息がかかる。

 
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