• テキストサイズ

《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第34章 イジワル上司の松野さん【トド松】


***


「奥田くん、昨日のダヨーン重工での話し合いの結果をまとめてほしいんだけど。……あれ? どうした? 体調でも悪い?」

私はハッと顔を上げた。入力途中のエクセル画面が目に入る。次に画面の向こうに立っている上司に気づいた。

「す、すみません!」

松野さんが困惑した表情で私のPCを覗き込んだ。

「そんなに難しかったかな? 何かわからない? もう一回教えようか?」

松野さんの顔が近づき、心臓が派手に音を立てる。私は慌てて横を向いた。

「だ、大丈夫です! すみません! 少しぼうっとしてました! 気をつけます!」

「そっか。気をつけてね。話し合いのまとめは無理そうかな。じゃあ、ボクがやるけど」

「すみません……」

「いいよ。入力が終わったらまた頼むから声をかけてくれる? もしわからなければ、いつでも訊いて」

「はい!」

松野さんは特に怒りもせずに席に戻っていった。

何かいいたそうにこっちを見ていた隣の一子さんが、すぐに話しかけてくる。

「ちょっとちょっと! 松野さん、変じゃな〜い? 今日はやけに奥田さんに優しいわよね。変なものでも食べたのかしら?」

「さ、さあ……」

思い当たることはもちろんある。昨日のエレベーターでの一件が、鋭い一子さんに悟られてしまうんじゃないかと声が震える。

一子さんはだるそうに頬杖をついた。
「松野さん、何か企んでるんじゃないの? あの人、ドライで思いやりがないからねぇ。前の新人に優しかったのだってどうせ下心だろうし。奥田さんも利用されないか気をつけてね。松野さんって、きっと自分の成功のためなら部下なんて簡単に踏み台にするわよ」

「ま……松野さんはそんな人じゃないです!!」

自分で思っているよりも大きな声が出てしまった。フロアにいた全員が私を見る。

「あ……そ、そうよね。ちょっと言いすぎたわね……」
一子さんが気まずそうに自分の席に身体を戻した。

みんなもまた何事もなかったかのように仕事に戻る。

耳まで熱くなるのがわかる。私ってば、なんでムキになって言い返しちゃったの? 一子さんのいうとおり、松野さんは冷たいイヤな人なのに。


/ 804ページ  
スマホ、携帯も対応しています
当サイトの夢小説は、お手元のスマートフォンや携帯電話でも読むことが可能です。
アドレスはそのまま

http://dream-novel.jp

スマホ、携帯も対応しています!QRコード

©dream-novel.jp