第1章 彼はお医者さん【一松/医者松】
《一松side》
わ、わざとじゃない。聴診器を動かした時にたまたま手が当たってしまった。
「あっ」と、小さく可愛い声。
やべっ。
おれは固まってしまった。たった一瞬だったのに、手の甲に強く残る感触。愛菜を見ると慌てて口を押さえている。
や、やばい。セクハラ医者だと思われたかも……。終わった……。ち、違うんだ、わざとじゃない。大体、おれ、セクハラとかできるほど器用な人間じゃないし。まさか訴えられたりしないよな……?
それにしても……可愛い……。
熱があるせいか赤い顔で目を潤ませて、おっぱい丸出しでおれを見つめる愛菜。
はあ……えっろ……。
高校の時、あんなに見たかった姿が今頃見られるなんて……遅ぇんだよ、くっそ!
まさか白衣の下でおっ勃ててるなんて、愛菜は思いもしないだろうな……。
フヒヒ、こんなクズでゴミな医者でサーセン。愛菜もこんなキモイ男に診られるなんて嫌ですよね。
おれは自分の下心を隠すように咳払いをした。
「胸の音はキレイだから大丈夫……。でも、喉が腫れていて咳も少し出るみたいだから、抗生物質と気管支のお薬を出しますね……。喉が辛いならトローチも出すけど……どうする?」
「はい、お願いします……」
彼女がか細く答える。
くっそ、可愛いすぎだろ。
昼の休憩に入ったら、トイレで抜こう……。