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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第34章 イジワル上司の松野さん【トド松】


閉じ込められたのが松野さんとでよかった……。一人だったらパニックになってるところだよ。

「ありがとうございます、松野さん……。松野さんって本当にしっかりされてるんですね」

松野さんを見習って私も冷静にならなくちゃ。イヤなやつと思ったけど、ちょっと見直しちゃった。

松野さんがフッと微笑む。初めて笑ったところを見たかも。
「そりゃ、こっちもいい年した大人だし。社会人になっていろいろ経験してるからね。奥田くんもさ、これからいろいろあるんだからしっかりしないと。社会は厳しいんだからやっていけないよ?」

「はい……!」
松野さんのいうとおりだ。

頷いた瞬間、バチッと大きな音が頭上から聞こえた。

ん?

突然、目の前が真っ暗になる。ケージ内の照明が落ちたらしい。

「え! うそ!? 何も見えない! 松野さん!?」

驚いて手を伸ばすと同時に松野さんの悲鳴が上がった。真正面からいきなり力いっぱいタックルされる。

わけがわからないまま床に倒れると、その上から覆いかぶさるように松野さんが抱きついてきた。

「ひいぃぃっ! 怖いぃぃ! 真っ暗だし! 出れないし! 何も見えないし! お化けでそうだし! いやああああーーーーーー!」
私にしがみつきながら絶叫する松野さん。

は……? 

私はなんとか起き上がった。

「あ、あの……松野さん……?」

「ひっ!?」

話しかけただけでビクッと震える上司。さっきまであんなに冷静で落ち着いてたのに。暗くなったとたん、これ!? ギャップがすごすぎない!?

「松野さん、落ち着いてください。大丈夫ですよ? 照明が落ちちゃっただけで」

「『落ちちゃっただけ』? 『だけ』って何!? 真っ暗なんだよ!? 何かいるかもしれないんだよ!? ボク、もうこんなところ、やだあぁーー!!」

私の腕の中でぶるぶる震える松野さん。

ええ〜……。何、この状況? 男女逆じゃないの? なんで冷徹なはずの年上男性上司が私にしがみついて泣いてるの?

「ま、松野さん……本当に大丈夫です。何もいないですよ。私と松野さんだけですってば」

仕方なく背中を優しく撫でてあげる。

おかしいな。本当についさっきまで立場逆だった気がするんだけど……??


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