第7章 ハロウィンナイトは危険なあなたと【十四松】
「一旦、車を停めて、ここがどこなのか確認しようよ? ええっと、スマホ……」
愛菜が鞄を弄る。
十四松は、仕方なく車を停車させた。辺りは真っ暗。ヘッドライトに照らされ浮かび上がるのは、うっそうと生い茂った木々と先の見えない山道だけ。標識も看板も見当たらない。
「あれ? ここ、ネット繋がらないみたい……」
愛菜は、取り出したスマホを操作して青ざめた。
「どうしよう、十四松くん! GPSも使えないみたい!」
言いながら運転席を見て、愛菜は異変に気づいた。
十四松は、ハンドルに顔を押し付け、下を向いている。
「どうしたの!? 体調悪いの!?」
慌てて十四松の肩に手をやる。反応がない。
(もしかして気絶してるの!?)
「十四松くん! しっかりして!」
愛菜は、十四松の肩を揺さぶった。
「ねぇ、愛菜ちゃん……」
十四松が下を向いたまま、突然声を出した。
「よかった! 意識あるよね!? 大丈夫? どうしたの? 運転代わる?」
十四松は下を向いたまま、静かに言った。
「愛菜ちゃんはお菓子くれないの……?」
「え?」
何の話か分からず、愛菜は固まった。