第33章 青春性愛ストロベリー【一松/えいが松】
《一松side》
心臓が壊れそうだ。
何がどうなってるんだ……。
高校生の奥田に出会ったのも驚いたが、まさか成長した今の奥田にまで会えるとは思っていなかった。
「ん……」
奥田の漏れた声で頭に血がのぼる。
ずっと会いたかった。我慢していた。忘れようと言い聞かせていた。
抑え込んでおかなくてはいけない感情が溢れてくる。
いや、感情に任せるな。喜ぶな。ときめくな。
おれみたいな社会から脱落したニートが奥田と再会したからって何ができる? 蔑まされて終わりだ。
同窓会だって、ひどかった。
みんなの前で正座させられ、ニート村と罵られ、笑い者にされ。社会から見れば、おれたち六つ子は恥ずかしい存在なんだ。
奥田に会いたいなんて、奥田に謝りたいなんて、もう一度やり直したいなんて、燃えないゴミのくせにおこがましいんだよ。
「んんっ……」
奥田の柔らかい唇がおれの唇の上を滑る。
甘い刺激が全身を駆け巡った。下半身も熱くなり、つい前かがみになってしまう。
「っ……ん……んぅっ……」
離れなきゃいけない。なのに、キスをやめられない。
「っ……」
おれは本能に従って、奥田の口の中に舌を挿し入れた。彼女の肩がピクッと小さく震える。
奥田の口の中、すごく柔らかい……。
夢中になって口内を掻き回し、食べてしまいそうな勢いで舌を吸う。
「ん〜〜っ」
唇を離したときには、おれは顔中汗だらけだった。息も切れている。
「松野くん……」
奥田のうっとりした表情。そんな顔されたら、おれ、おかしくなる。
「ご、ごめん……おれなんかが……奥田と……」
股間が痛い。こんなに硬くなったことがあっただろうか。キスしただけで、このザマかよ。
「ううん、嬉しい……」
奥田が微笑む。
胸が熱くなった。また君の笑顔を見れるなんて。高校のときと全然変わっていない。もう二度と見れないかと思っていた。