第33章 青春性愛ストロベリー【一松/えいが松】
「は!? 奥田のスカートを!? おそ松兄さんが!?」
急に大きな声を出す松野くん。
「シッ! 静かにして! 見つかっちゃうよ?」
私はうしろを振り返った。誰も来ない。聞こえはしなかったようだ。
「あ……うん……ごめん……。でも、そんなの初めて聞いたけど……」
松野くんが口を押さえながら、小さな声で喋る。
「あれ? いわなかったっけ?」
「うん。おそ松兄さんがスカートめくりをやってたのは知ってたけど、まさか奥田もやられてたなんて……」
「あ、嫉妬した?」
私は松野くんの顔を覗き込んだ。
「べ、別に……」
松野くんが顔をそらす。
「もしかして、松野くんもスカートめくりたかったの〜?」
「は!? そ、そんなわけないでしょ……」
少し頬を赤らめ、気まずそうに答える松野くん。
「え〜、本当に?」
「ほ、本当だよ……」
私たちは足を止めた。話しているうちに自分たちの教室の前まで来ていたようだ。ドアに手をかけて引いてみる。ギイッと音がして、滑りにくい扉は開いた。
「わぁ! 懐かしい!」
私は教室に飛び込んだ。本当に記憶しているままだ。
松野くんもあとから入ってきた。そっとドアを閉める。
日が落ちかけ、教室の中はかなり薄暗い。私は窓に駆け寄り、外を覗いてみた。誰もいない校庭が見える。ここでよく外を見ながら松野くんと喋ったな。
「ねぇ、奥田……」
うしろから松野くんの声がした。
「ん〜? なに?」
「あのさ……」
「うん?」
振り向いた瞬間、真後ろにいた松野くんが突然しゃがんだ。
「えっ?」
バッと両手を前に出す松野くん。めくり上がるスカート。何が起こったのか、すぐにはわからなかった。
「薄紫のレース……」
松野くんがボソッと呟く。
「っ!! や、やだ! 何するの!?」
慌ててスカートを押さえる。ようやく松野くんにめくられたのだと気づいた。
「なんだ……『キャー』とかいわないんだ……」
「いわないよ!」
「おそ松兄さんにやられたときも?」
「それは覚えてないけど……」
「ふぅん……」
あれ? 松野くん、少し怒ってる?