第33章 青春性愛ストロベリー【一松/えいが松】
「ん?」
あれ? 何かまずいこといった?
「や、やだっ! 何いってるの! 好きなんかじゃっ……」
18歳の私が両手で顔を覆う。
「す、す、す、好き……? は? うそ? 奥田が? おれを?」
高校生の松野くんもオドオドしだす。肩から鞄がずり落ちた。
「マ、マジで……? じゃあ、おれたちって高校のころ……」
ついでにその横で大人の松野くんまで汗びっしょりになって震えている。
「あっ……」
私は口を押さえた。
しまった。フライングで好きっていっちゃった。高校のころは気持ちをずっと隠してたんだっけ!
でも……バレちゃったものはしかたない!
私は愛菜の腕を掴んだ。
「ほら! 愛菜! 松野くんにちゃんと伝えて! この先、喧嘩したままお別れなんてイヤでしょ?」
「っ!」
愛菜がハッとする。
「お、おまえもっ! 奥田にちゃんと謝れよ! 本当は一緒にいたいんだろ!?」
松野くんも18歳の自分の腕を引っ張る。
「っ……」
私たちは二人に無理やり握手をさせた。
「愛菜! 松野くんに気持ち伝えて!」
「ちゃ、ちゃんといえよ、おれ……」
二人はモジモジと見つめ合った。
恥ずかしそうに18歳の私が口を開く。
「松野くん、私……」
高校生の松野くんも照れくさそうに頭を掻いた。
「奥田、ごめん……。おれ、本当は奥田のこと……」
そのとき、突然地面が揺れた。目の前の風景がグニャリと歪む。
「きゃあっ!?」
「奥田!」
よろけた私を大人の松野くんが支えてくれた。
公園の木も、すべり台も、ブランコも、空も、高校生の二人までも、グニャグニャと形が崩れだす。
「な、何これ!?」
「やばいっ! 関わりすぎた! 離れろ!」
松野くんが私の手を引いて駆け出した。
「え! な、何!? どこに行くの!?」
「とにかくここから離れるんだよ! おれたちは介入しすぎた! 本当はこの世界の人間と話したらいけないんだよ!」