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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第33章 青春性愛ストロベリー【一松/えいが松】


《一松side》


「はぁ……」
おれはため息をついて、コーヒーをひとくち飲んだ。うしろの席に集中しているせいか味がしない。

パティスリー・アカツカ。

洒落たケーキショップの喫茶スペースで、おれは一人でテーブルについていた。フードを被ってマスクをしているから、他の客から顔は見えないはずだ。ただ、場違いな場所にいることがおれのメンタルに地味にダメージを与え続けている。

店内は女性やカップルだらけ。みな美味しそうに可愛いスイーツを食べていた。

落ち着け……。ゴミクズが入るべき店じゃないのは百も承知だ。今にも人体が発火しそうだが、そんなこといっていられない。

目を瞑って、背中ごしに聞こえてくる会話に耳を澄ませる。うしろの席では18歳のおれと奥田が楽しそうに喋っていた。


昨日奥田からこの店に行く話を聞いて、つい心配で見に来ちまった。おれの記憶が正しければ、18歳のおれたちはここで喧嘩をしてしまうはずだ。

まあ、見に来たところで、おれなんかに何ができるってわけでもないですけどね……。


「そういえば、松野くん、昨日柳田くんたちとカラオケに行ったんだよね? 何を歌ったの?」

「は? カラオケ?」

ヤバッ! カラオケに行ったのは大人のおれのほうだよ。バレちまう!

思わず身をすくめると、タイミングよく店員が奥田たちのテーブルにやってきた。

「お待たせしました。イチゴタルトのお客様」

奥田が歓声をあげる。

「では、お客様はミルクレープですね」
18歳のおれの前に皿を置くと、店員はお辞儀をして去っていった。

二人は会話を中断し、すぐにケーキを食べ始める。

ふう、危なかった……。

ホッとしてまたコーヒーを飲む。今度はさっきより味を感じたが、やけに苦味が舌に残った。

もう覚えていないが、このときおれが頼んだのはミルクレープだったのか。


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