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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第33章 青春性愛ストロベリー【一松/えいが松】


「あ……! そ、そっか! あのケーキ屋! う、うん……覚えてるよ……」

松野くんとケーキを食べに行く……? 

私は唾を飲み込んだ。

例の日だ。あの日、私と松野くんはケーキを食べに行って喧嘩した――。

二人はまだ玄関先で話している。私はこっそりと茂みから茂みへ移動した。見つからないように家の外に這い出る。

とにかくここは危ない。高校生の私と鉢合わせするのはなんだか怖い。自分でも理由はよくわからないけど、本能的にそれは危険だと感じる。

私はとりあえず早足で歩き出した。

「明日か……」 

結局、ここがなんの世界なのかはわからない。本当に過去の世界なのか、幻覚の世界なのか。それとも考えたくないけど……もしかして私は死んでしまって死後の世界にいるとか?

広い道路に出て、信号を渡る。

「死んでるわけないよ。昨日は出張から帰ってきて、そのまま寝ただけだもん! おかげで赤塚まで行けなくて同窓会には出られなかったけど……」

同窓会?

私はハッと立ち止まった。

そういえば、そうだ。昨日は同窓会だったんだ。

松野くんも来ていたんだろうか? 大人になった松野くんは今、何してるんだろう? 私のことなんてきっと忘れてるよね……。

この世界に来てしまったのは、同窓会と何か関係あるんだろうか?

私はポケットを探った。昨日は家に着いてそのまま着替えもせずに寝てしまった。おかげで財布を入れたままだ。

「この世界でも普通にお金使えるのかな……」

とにかく歩いていても埒があかない。どこか安いホテルにでも泊まろう。明日は大切な日だ。

「なんとか喧嘩を止めないと……」

この変な世界で喧嘩を止めたからって、今の私たちに影響するとはとても思えない。でも、もう後悔はしたくない。

私は決めていた。とにかく二度と喧嘩なんてさせない。

いつの間にかすっかり暗くなっている。三月の夜はまだ風が冷たく、手がかじかんでくる。

私は震えながら財布を握りしめると、再び歩き始めた。


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