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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第33章 青春性愛ストロベリー【一松/えいが松】


「え!? 松野くん!? 約束は!? なんで!? ちょっと待っ――」

背中から声が追いかけてきたが、おれは立ち止まらなかった。無我夢中で走る。

広い道路を横切り、商店街を駆け抜け、目に入った狭い路地に飛び込む。ようやく走るのをやめた。

「っ……はあっ、はあっ、はあっ……」

久しぶりに走ったから、少しめまいがする。膝に手をつき、息を整えると、猫の鳴き声が聞こえた。

「おまえ……」

何回か見かけた黒猫だ。瞳がきれいなエメラルドグリーンで、可愛いけれど少しミステリアスな雰囲気もある。

たしかこの猫、この世界にくる前にも見たよな……。

おれは息を吐いて、座り込んだ。猫も寄り添うように横にうずくまる。


ここはおれたちが普段暮らしている世界とは違う。誰かの記憶の中――思い出の世界だ。

なぜこんな変な世界に紛れ込んだのかはわからない。昨日はたしか同窓会にいって、打ちのめされて、飲みすぎて……。

朝になって目を覚ましたら、兄弟六人揃ってこの過去の世界に来ていた。

「くそっ……奥田……」

なんで奥田と鉢合わせしちまうんだよ。ここはおれの思い出の世界じゃないはずだ。なんで他のやつらの記憶の中で奥田が話しかけてくるんだ? それともまさか……おれの記憶の世界なのか……? 

「昔のおれって女子と普通に仲良くできてたんだよな……。無理……。考えただけで吐きそう……」

さっき18歳のおれを見かけたが、一丁前に友達とハイタッチして笑顔で喋っていた。薦められた服も買ってたし。あんなもん絶ッ対いらないだろ! 18歳のおれ、無茶しやがって!

ああ、思い出したらまた死にたくなってきた……。黒歴史にもほどがある……。

頭を抱えてため息をつく。

なんなんだよ、この世界は……。


そのとき、

「松野くんっ! 追いついたっ!」

上から突然声が降ってきた。


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