第32章 咲き乱れよ愛慾の長春花【逆ハー/三国志松】
まだ残る余韻。そっと立ち上がり、おそ松帝から離れる。
信じられない。知り合ったばかりの六人の男たちとこんな淫らなことを私がするなんて。でも……すごく楽しかった……。
そのとき、何かが崩れるような大きな音が耳をつんざいた。続いてワッと叫び声。遠くからどんどんと近づいてくる。
「えっ! 何?」
慌てて服を拾うと、チョロ松たちも慌てたように服を着始める。
声はもうすぐ近くまできた。かなり大勢いるようだ。
「おい! おまえら! 縄ほどけって!」
おそ松帝が叫ぶ。
次の瞬間、地響きとともに破られる扉。同時に人がなだれ込んできた。
「愛菜ーー! 愛菜はおらぬか!?」
「父上!?」
たくさんの兵たちを従え、先頭にいたのは紛れもない、私の父、魏の丞相・曹操。
武器を構え、鬼のような形相で進んでくる。
「げえっ! やばっ!」
おそ松帝が声を上げた。
カラ松たちも一斉にあとずさる。
父は部屋の中をぐるりと見回すと、おそ松帝を睨みつけた。
「これはいったい……。まさかおまえたち、我が娘を……」
「ひいいぃっ!? ち、違います! ヤッてません! いや、ヤッたけど、そのっ……これにはワケがっ……!」
「やはり娘に手を出したか! このごに及んで無様な言い訳とは笑止千万! 問答無用だ! かかれ!」
わあっと閧(とき)の声が上がり、松の六人に襲いかかる兵士たち。
私は父親の元に駆け寄った。
「父上! 違うんです! この人たちはただ楽しくワチャワチャしたいだけなんです! 私はこの国に残ります! 私だって人生を楽しみたいの!」
「愛菜、目を覚ますんだ。この者たちはただの堕落しきったクズニートだ……。おまえまでダメ人間になってしまうぞ? 見よ、あの情けない姿を!」
視線をうつすと、兵士たちに次々と滅多打ちにされていく六人。ある者は顔面を打たれ、ある者は腹パンされ、ある者は股間を蹴られ、ある者は乳首をむしられ、ある者は尻に…………まあ、これはいわなくていいか。