第32章 咲き乱れよ愛慾の長春花【逆ハー/三国志松】
「あなたたち……まさか本気で……」
さすがに六人の男性に太刀打ちできる気がしない。
この国では私の立場はいわば捕虜。逃げられない限り、何をされても文句はいえないのだ。恐怖で喉がカラカラになる。私は無理やり唾を飲み込んだ。
「ああ、そのまさか。朕たちは本気だ……」
おそ松帝が一歩踏み出す。
他の五人も頷いてあとに倣った。
まさか本当にこのまま襲われるの!? さっき一度は覚悟したけれど、三人相手とはワケが違う。六人はさすがに無理!
私は後ずさった。
「や、やだ! 来ないで! 乱暴はやめて!」
叫んだ瞬間、六人が目の前から一斉に消えた。
「へ?」
一瞬、何が起こったのかわからなかった。視線を落とすと全員が頭を地に擦りつけ、土下座をしている。
は? 何? なんでいきなり土下座?
「「「「「「我たちに女を教えてください! オナシャス!」」」」」」
六人の声がぴったりと揃った。
「はぁ?」
おそ松帝が頭を下げたまま、口を開く。
「朕たち、童貞だから女を襲うなんてやっぱ無理ゲー!」
「帝のいうとおりだ。ラブはあってもテクニックがないしな」
カラ松も頷く。
「できれば、あなたのほうからやっていただけると助かります」
これは文官のチョロ松。
「おで、女、知りたい。優しく、教えて、ほしい」
一松も土下座したままだ。
「あはー! 我たち、何もできないよー! でも桃はあるよ!」
桃を差し出す十四松。
「女のコから教えてもらえるのはいいかもね〜。やめようと思ってたけど、もうちょっと武将、続けてみよっかな!」
顔を上げて、きゅるんとウインクをキメるトド松。
「は? え? 私が教える? あなたたちに?」
「勝手に入ってきたんだし、そのくらいお願い聞いてくれてもいいだろ〜? な?」
帝の言葉に全員がうんうんと頷く。
「教えるっていわれても……」
「んじゃ、とりあえず裸になって身体のこと教えて! 朕たち、一生懸命覚えるから!」
え? ええっ!?
六人は顔を上げ、ちょこんと正座したまま私を見つめている。