第32章 咲き乱れよ愛慾の長春花【逆ハー/三国志松】
世の民が求めているのは、もはや王道による生ぬるい政治ではない。今の世が必要としているもの、それは圧倒的な武力――覇道(はどう)による天下統一。父が太平の世を治める日は果たしてく……
「あのさぁ、長ーいもっともらしい文章で説明してるところ悪いんだけどぉ、朕(ちん)は知らないよ〜? そういうのめんどくさいし!」
私の考えを遮り、目の前のおそ松帝はポリポリと頭を掻いた。本当に面倒くさそうにあくびまでしている。
「え、龐統を送り込んだのはおまえたちではないのか?」
驚いて見つめると、おそ松帝はニターッと笑った。
「っていうか、おねーさん、おっぱい大きいね〜! チューしたい!」
「は……?」
いきなり失礼なことをいわれ、私は唖然とした。
「んー! てか、セッ(ピー)したい!」
おそ松帝は悪びれることなく、私をイヤらしい目で眺め回した。
な、なんなの、この男……。品格も何もないんだけど……。本当に帝なの?
私は咳払いをして、なんとか気持ちを立て直した。
「じゃ、じゃあ、本当に何も知らないのか?」
「うん! 知らない! てか、そんなめんどいこと朕がするように見えるぅ? はっきりいって、楽しくワチャワチャしてたいだけぇ〜」
「…………」
見 誤 っ た !
このおそ松とかいう男は関係ないらしい。たしかに手の込んだ画策ができる軍師が付いているようには到底見えない。単純に赤壁で見かけただけだったのかも……。だとしたら、この人は赤壁に何しに来てたんだろ?
「失礼をしました。私の勘違いだったようですね。国に帰ります……」
頭を深々と下げると、おそ松帝はタハハ〜と笑った。
「帰るってどこに〜? そんなの許すわけないじゃん! 勝手に入ってきたくせに!」
「え……」
驚いておそ松帝を見る。