第6章 ドント・ストップ・ミー【おそ松】
愛菜が俺を見上げた。
「おそ松くんは私のこともう嫌いなの……?」
「…………」
何て答えりゃいいんだよ……。うまく言葉が出て来ない。
瞬間。
後ろからバットが飛んできて俺の頭に見事にクリーンヒットした。派手な音とともに俺は前のめりになって転びそうになる。
「いってーな!! 誰だよっ!」
振り返って怒鳴ると、バタバタと複数の足音が階段を駆け上っていった。
「おそ松くん……?」
愛菜の声に、慌てて俺は顔を戻す。
不安そうに揺れている濡れた瞳。目が合った瞬間、俺は胸をえぐられるような気がした。
「愛菜、ごめん……。俺が悪かったよ。愛菜の部屋に行って興奮しちゃって……」
今度は自分でも驚くほど、素直に言葉が出てきた。
「ううん、私もごめんね……。その、まだ怖くて……」
「あのさ、俺、ちゃんと我慢して待つからさ、もう一度付き合ってくんねーかな?」
頭を掻きながら言うと、愛菜が微かに笑う。
「もう一度って……私たち別れてたの?」
「あーいや、別れてねぇけど……」
愛菜は、今度はふふふっと笑った。
「じゃあ、おそ松くんは今もこれからもずっと私のカレシだよ?」