第6章 ドント・ストップ・ミー【おそ松】
あ〜あ、本当はなんもやる気しねぇよな……。パチンコもだりぃけど、ま、何もしてないよりはマシか。
そんなことを考えながら、玄関の扉を勢い良く開けると、「きゃっ!」と誰かが後退った。まさか人がいるなんて思ってなかった俺は、驚いて目の前の人物を見つめた。
「え? 愛菜……?」
「あ、その……来ちゃった……」
愛菜が気まずそうに俯く。1ヶ月ぶりに会った彼女は、前よりも少し痩せたように見えた。
え? なんで今頃? もう俺のこと嫌いなんだろ?
黙っていると、愛菜が口を開いた。
「おそ松くん、その、ごめんね。もう、私のこと、嫌になっちゃった……よね……?」
いきなり来て、なんでそんなこと聞いてくるんだよ。
俺はポケットに手を入れた。
「嫌になったのは、愛菜の方だろ?」
「違うよ。嫌になってなんかない。ずっと連絡くれないから……私……」
ポロポロと泣き始める。
「は? え? だって、ずっと連絡くれなかったのは愛菜も一緒だろ!?」
愛菜が絞り出すように言う。
「そう、だけど……私、おそ松くんのこと好きだから……こんな終わり方したくなくて……」
「あ? 何、いまさら言ってんだよ」
くそ、愛菜、やっぱり可愛い。今すぐ抱き締めたいくらいなのに口から飛び出すのは棘のある言葉。