第6章 ドント・ストップ・ミー【おそ松】
反対側にいたトド松が、スマホから顔を上げて眉を顰めた。
「うわ……おそ松兄さん、最低……。愛菜ちゃん、あんなにいい子だったのに……」
「えー! 愛菜ちゃんともう遊べないの!?」
身を乗り出して抗議をしてくる十四松。
部屋の隅で鏡を見ていたカラ松が、何かを言いたそうに俺をじっと見つめた。
「あ? 何だよ、カラ松」
「いや…………」
カラ松は、また鏡に視線を落とした。
何だよ、お前ら。揃いも揃って愛菜、愛菜って。はいはい、どうせ俺は最低だよ。そんなの今に始まったことじゃねぇだろ?
俺は伸びをしながら大声を出した。
「あー! 早くキレイなお姉さん捕まえて、エロエロセックスしたいよな〜! どっかに落ちてねぇかな? なぁ、チョロ松ぅ?」
「何、バカなこと言ってんだよ……」
チョロ松が軽蔑しきったような目で見てくる。
俺は立ち上がった。
「んなことよりさぁ、誰か今からパチンコ行かね? 今日は出る気がするんだよね〜」
弟たちが一斉に呆れたように俺を見上げた。誰も付き合う気はないらしい。
「ちぇっ、何だよ〜。お前ら、ノリわりぃな〜。一人で行ってくるか」
俺は財布を持つと、部屋を出た。