第6章 ドント・ストップ・ミー【おそ松】
トイレのドアが勢い良く閉まる音。
俺はそのまま動けず、呆然とする。未だに自分の置かれた状況が分からない。
え? 何? なんで? 俺、やばいことしちゃったの? 愛菜は、俺のこと好きなんじゃねぇの?
床に置かれたヘッドホンから漏れ続ける耳障りな音。
何がドントストップミーナウだよ。調子に乗りやがって。
「あー! うるせぇんだよっ!」
俺は、ヘッドホンに手を伸ばし、乱暴にコードを引き抜くと、壁に向かって思い切り投げた。
ガシャン! という大きな音。
割れたヘッドホンの破片が足元に転がってくる。
愛菜が逃げ込んだトイレからは、何の音も聞こえない。
「くそっ……何だよ……」
俺は立ち上がると、そのまま愛菜の家を出た――。