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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第30章 熱帯夜【逆ハー】


***

無人島の夜は暗く心細い。

森の外から聞こえる波音を子守唄に、くっつくようにして眠る七人。テントの中はギュウギュウだ。

「ねぇ、チョロ松兄さん……トイレ……」

誰かの声がして、私は目を覚ました。暗がりの中で影が動いている。

「はぁ……。ここは無人島だろ? そこらへんで適当にしてこいよ」
不機嫌そうな声が聞こえた。

「そんなの怖いよ。外には幽霊がいるかもしれないし!」

「いないいない。大丈夫だよ」

「大丈夫じゃないよ! チョロ松兄さん! 本当に!! お願いついてきて! 漏れちゃうよ!?」
たぶん声の主はトド松さんだ。

「ハイハイ。わかったよ」
チョロ松さんが起き上がる。

二人は連れ立って外へ出ていった。

夜中でもトイレに付き合ってあげるなんて、チョロ松さんは優しいんだな……。さすがお兄さん。

私は目を瞑った。

ふたたび静寂が訪れたテントの中。誰かの規則正しい寝息が聞こえる。外からテントにはりついた蜘蛛がカサカサと動いた。

今日はいろいろあったなぁ。まさか無人島で遭難して、初対面の男性とあんなことしちゃうなんて。しかも4P。信じられない……。

森の中でのできごとは、残りの三人には内緒にした。何食わぬ顔で一人ずつバーベキューに戻ると、遅いと文句は言われつつも、それ以上は特に疑われもしなかった。 


あくびをしながら寝返りを打つ。隣のおそ松さんにぶつかった。

「ん〜? なに? ごはん……?」  
寝ぼけた声。

「っ! すみません! 起きちゃいました!?」

返事の代わりに気持ちよさそうな寝息が戻ってきた。

ホッとして目を瞑る。

「愛菜ちゃん」

そのとき、うしろから急に名前を呼ばれた。

「は、はいっ!?」

ふたたび反対側に寝返りをうつと、十四松さんがじーっと私を見つめていた。


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