第30章 熱帯夜【逆ハー】
「…………」
急に押し黙る一松さん。
「あれ? 一松兄さん?」
「一松さん?」
「どうした、一松?」
三人の声は聞こえなかったのか、返事はない。
一松さんは花をゆっくりと拾った。
「一松兄さん? もしかして怒った?」
トド松さんの問いにも答えず、一松さんは私の肩に手を置いた。
「ねぇ、おれにもヤラせてよ……。どうせならトド松と一緒に犯してやるか……」
「っ!? 一松さん?」
強い力で引き寄せられて、いきなり唇を奪われる。ムードも何もない。激しく吸われた。
「ん〜〜!? ん〜〜〜〜!!!!」
唇を離した彼は不気味に笑っている。さっきの優しい表情はどこに行ったんだろう?
「あんた、トド松と対面座位しようとしてたでしょ? それだとおれが楽しめないからさ……。とりあえず四つん這いになってトド松のを咥えろよ……。下の穴はおれが犯してやる……」
さっき心配そうにしてたくせに、いきなり言うことが鬼畜!
「一松、おまえも花の香りを嗅いだのか? 大丈夫か?」
カラ松さんが優しく声をかける。
一松さんは煩そうに振り返った。
「ぁあ? うるせーよ、クソ松。これでも嗅いで黙ってろ!!」
手に持っていた花を今度はカラ松さんに乱暴に投げつける。
「うわっ!?」
とっさにキャッチしたとたん、カラ松さんの瞳がまたトロンとなった。キリがない。
一松さんは馬鹿にしたように笑うと、私を地面に押しつける。
「ほら早くしろよ。豚の分際で抵抗するなよ?」
一松さん、振り幅がすごいんですけど!?
私は仕方なく四つん這いになると、トド松さんの股間に顔を近づけた。