第30章 熱帯夜【逆ハー】
「わぁ! すごい! 食べ物ですか?」
「うん、バーベキューの材料とお酒! ほかの店にも寄ってきたけどね。あとは、一松兄さんがアウトドアセットを借りてきてくれるから!」
トド松さんが話している間に、荷物を抱えた一松さんがのろのろと歩いてきた。
「わぁ、あっという間に準備できましたね!」
「だろ? こういうときの俺らの団結力はすげーから!」
おそ松さんが鼻の下を擦ると、みんなが不機嫌そうに顔を歪める。
『おまえは何もやってないだろ』と言いたいんだろうな。私も手伝えばよかった。
「よしっ、んじゃ、さっさと行こうぜ!」
おそ松さんがボートを波打ち際に置く。みんなの視線はまったく気になっていないみたい。
無人島かぁ。思いつきで言っちゃったけど、全部用意してくれたし楽しそう。ちょっとワクワクするかも。
「ハニー、行けそうか?」
カラ松さんに尋ねられ、こくんと頷く。
「さっそく出発〜!」
私たちは荷物を詰めるとボートに乗りこんだ。