第30章 熱帯夜【逆ハー】

「いやいや、カラ松、しっかり水中でタッティしてるよね！？　強引なんだよ。愛菜ちゃん、僕なら安心だよ！」

今度はチョロ松さんに抱きかかえられる。

「うわ〜、チョロ松兄さんが珍しく大胆！」

「いや、よく見るんだ、トッティ。チョロ松の目に『おっぱい』の文字が浮かんでいる」
カラ松さんが指を差してくる。

見ると確かにチョロ松さんの目には『おっ』と『ぱい』が出ていた。どういうメカニズム？？

「あんた、それ以上そうしてると危ないから……」
一松さんに強引に引っ張られ、

「愛菜ちゃーん！　ぼくが持ち上げてあげる！　どーん！！」
十四松さんになぜか胴上げされ(！？)、

「あーもう！　兄さんたちは下心見え見えなんだよ！　ごめんね、愛菜ちゃん！　おいで！」
気づけばトド松さんにお姫様抱っこをされていた。


「おい、トッティ、ずるいぞ！　何だかんだで尻揉んでるじゃねーか！」
おそ松さんが私たちをまた離そうとしてくる。

「は！？　変なこと言うのやめてくれる！？　そういうおそ松兄さんは愛菜ちゃんのおっぱい触ってたでしょ？」

「それ言うなら、チョロ松なんかモロ自分のを擦りつけてたじゃねぇか！」

チョロ松さんが真っ赤になった。
「僕のは不可抗力！　たまたま当たってただけ！　十四松なんか胴上げするとき全身揉みくちゃにしてたよね！？」

「えー！　ぼくー！？　それなら一松兄さんなんか愛菜ちゃんの太腿触ってたっす……」

「はぁ！？　おれが！？」

みんな無言になって睨み合う。今にも取っ組み合いになりそうだ。

「フーンッ、聞いてくれ！　ちなみにオレはただ肩にバタフライを乗せていただけだっ！」
カラ松さんが突然サングラスを颯爽と外した。

特に誰も返事をしない。

「あ、あの……そんなことよりもっと楽しく遊びませんか？　せっかく海に来てるんだし……」
私が恐る恐る言うと、みんな一斉に顔を上げた。