第30章 熱帯夜【逆ハー】
私はしどろもどろになりながらも、なんとか言葉を絞りだした。
「六つ子って聞いたので……その……興味というか……お話してみたいなと思って……いきなり迷惑ですよね……すみません……」
途端に六人の顔がパッと明るくなった。
「やりぃ! プリップリしてる水着美女がマジで釣れた! さすがトッティ! 末っ子おそるべし!」
「フッ、真夏のアバンチュール! 神も見捨てていなかったか」
「えええええ!? 嘘でしょ!? どどどどどうなってんの!?」
「こんなにたくさん男がいる中でおれたちみたいなゴミに声をかけるなんて……」
「おっぱーい!!」
「ね! だから言ったでしょ? 『トッティの六つ子押し作戦』大成功!」
一斉に喋る六人に私はぽかんと口を開けた。
「すごい……六つ子でも声は全然違うんだ……」
てっきり似たような声かと思ったのに全く違う。しかも心なしかみんないい声に聞こえる。
「うんうん! 声はみんな違うよぉ! おねーさん、名前は?」
赤い海水パンツを履いた男性がにじり寄ってきた。
「愛菜です……」
「で、オレたちに何を聞きたいんだ? カラ松ガールよ」
サングラスをかけた男性。
「えっと……さっきはなんで『六つ子だよ〜』と言いながら歩いてたんですか?」
「それはもちろん君みたいなエッロい水着の女の子に声をかけてほしいからだよぉ。末っ子が考えた作戦なんだけど、まさかこんな可愛い子と話せるなんて!」
「くぉら! 長男! エッロいとか本人に言うなっ!」
緑のパーカーを羽織った男性が突っ込む。
「まあ、あんたが変わってるだけだと思うけどね……普通は声かけないでしょ……」
猫柄の布を日除けに被った男性が呟いた。