第29章 キミとおうちで〇〇〇デート【おそ松/デート松】
「なあなあ、愛菜。俺、本当に汗かいてちょっと気持ち悪いからさ、わりぃけどシャワー貸してくんねーかな?」
先手必勝。自分から言ってしまえ。
「えっ、シャワー……?」
一瞬、愛菜が止まった。
「だめ?」
ハッとして慌てて首を振る愛菜。
「全然! だめじゃないよ。おそ松くんがシャワー浴びている間に服を洗濯しようか? この暑さなら、外に干しておけばあっという間に乾くし。乾燥機にかけるより早いかも」
「おっ、頼むよ」
愛菜はすぐに浴室に案内してくれた。
「ごめんね。さっき、私が入ったばかりだから、タイルとか濡れてるけど」
「そんなの気にすんなよ! じゃあ、服置いておくから頼むな〜」
「うん」
愛菜が一旦脱衣所から出る。俺はさっさと服を脱ぐと、浴室に入った。
シャワーを出しながら、ふと考える。
あれ? そういえば、愛菜も入ったばかりって言ってたよな? てことは、俺が来る前にシャワー浴びたってことか。もしかして、俺に抱かれると思って?
いや、暑いからただ浴びただけかも。でも、もしかしたら、『おそ松くんに襲われてもいいように身体をきれいにしておこう』と思ったという可能性も……。
「なんだよ、あいつ。俺に襲われる前提かよ〜! エッロいなぁ〜! くそ〜」
顔がニヤけてくる。妄想が止まんね。
すりガラスに愛菜の姿が映る。俺の服を洗濯してくれているようだ。
とりあえず、部屋に戻ったら、無難な会話をして徐々に距離を縮めて……って、なんか俺らしくないなー。お兄ちゃんの良さ、なくなっちゃうよな。やっぱり、ここは男らしく攻めるか……。
色々頭に巡らせながら、俺はゴキゲンでシャワーを浴びていた。
……が、ふと、あることを思い出した。
「あ……! やべ! ポケット!!」