第6章 ドント・ストップ・ミー【おそ松】
「これ」
愛菜が真っ赤になりながら、ヘッドホンを差し出す。
「へ?」
「だから! 私がトイレに行っている間、このヘッドホンをつけてて欲しいの」
「…………」
「お願いっ!」
かっ、可愛い〜!
なんだよ、たかがおしっこの音ぐらいで!
そんな、恥ずかしがっちゃって!
俺はニヤニヤしながらヘッドホンを受け取る。
「おそ松くん、私が戻ってくるまで絶対に取らないでね?」
「はいは〜い」
「絶対だよ!? 絶対に取っちゃだめだからねっ!」
俺は頷いてヘッドホンをつける。大音量で音楽が流れる。確かにこれなら聞こえないわな。
愛菜は、何度も振り返りながら部屋を出ていった。
……さてと、どうしようか。取っちゃだめって言われたら、取りたくなるのが人間の心理だよな〜。
俺はヘッドホンに手をかけた。
「…………でも、まぁ、やめとくか」
やっぱり取るのはなんか罪悪感がある。
俺はそのままヘッドホンで音楽を聴きながら、目を瞑って仰向けに寝転がった――。