第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
《愛菜side》
「おそ松くんって可愛いね」
思わずぽろっと呟いてしまう。
「は!?」
おそ松くんが目を丸くした。
「だって、女子高生見てたとか、浴衣の女の子見てたとか、言わなきゃいいのに言っちゃうんだもん」
「あ、あー……だってさぁ……」
少しふてくされたように口を尖らすおそ松くん。
「でも、そういうところが好き」
「へ?」
花火のせいか聞こえなかったみたい。キョトンとしている。よかった。聞こえちゃったら恥ずかしいもん。
「大丈夫だよ。心配してないから。おそ松くんのこと信用してるもん」
「マジか〜信用するなよ〜。俺、期待されるとダメになっちゃうタイプ」
「え〜? じゃあ、浮気するの?」
おそ松くんはふっと笑う。体をずらし私にくっついた。
「しねぇよ。愛菜しか見えねぇもん……」
「おそ松くん……」
背中に手を回され、引き寄せられた。
フィナーレが近い。耳が痛くなるような大きな音。大輪の花火が夜空を埋める。
私たちはまた唇を重ねた。じんわりとおそ松くんの体温が伝わってくる。優しい優しいキス。
「ま、女子高生は見るけどな……」
唇が離れ、にんまりする彼。
「バカ……」
もう一度、唇を重ねる。
花火はクライマックスに向けて走り出した。私たちは顔を離すと、寄り添いながら空を見上げる。
「愛菜」
「ん?」
「俺も好き」
私は彼の肩から頭を上げた。