第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
愛菜は目を輝かせて花火に見入ってる。
「おい、愛菜……」
「ん〜?」
「後でねって言ったよな?」
「何が?」
いや、適当に返すなよ! ここ重要!
「なぁなぁ、愛菜ちゃ〜ん、言ったよな? な?」
「……おそ松くん、一人でお酒飲んでずるいよ。私のも出して」
俺が持っている袋を指差す愛菜。
「あ? ああ……わりぃ」
そう言えば、忘れていた。袋から缶チューハイと食べ物を出して、二人の間に並べる。
「冷めちゃったけど、美味しそう。いただきまーす!」
愛菜は早速食べ始めた。まるでおあずけを食らっていた犬がやっと餌にありつけた、みたいな勢いで。ま、俺がおあずけを命令したんだけどさ。
さっきよりも涼しくなってきた。海風が汗を冷やしていく。頭上に広がる花火を眺めながら、酒を飲む。隣には美味しそうに焼きそばを頬張る彼女。
あ〜、これはこれで、なんかいいなぁ。
「ねぇ、おそ松くん……」
愛菜が花火を見上げながら、小さく声を出した。一通り食べ終わったらしい。
「何?」
「来年も一緒に来れたらいいね……」
愛菜を見ると、微笑みながら空を見上げていた。
あんなエロいことしちゃったから、てっきり振られるかと思ったのに。愛菜は来年も俺と花火を見に来るつもりなのか……。
「当たり前だろ? 来年も再来年もその後もずーっと一緒に見に来るに決まってんじゃん!」
「ほんと〜? でも、おそ松くん、すぐ浮気しそうだしなぁ」
愛菜がこっちを向く。
「はぁ!? んなわけねーし! 俺、浮気なんてするやつに見える!?」
「見える」
「んだよ! 確かにこの間、一緒にいるとき、スカート短い生足女子高生見てたけどさぁ。それぐらいだろ? 今日はちょっとしか浴衣の女の子見てないし!」
愛菜が笑いだした。
「何それ〜。ちょっとは見てたんだ〜」
「そりゃ、ちょっとは見るだろ」
「女子高生見てたのも初耳だし」
「マジで!? 気づいてなかったの!? 言わなきゃよかったよ、くそっ」
悔しがる俺を見て、愛菜はますます楽しそうに笑った。