第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
《おそ松side》
愛菜が俺の肩に頭を乗せている。右腕に感じる彼女の柔らかい身体。こんなにくっついたのは初めてだ。
これ、まずくね? 勃っちゃいそう……。
でも、花火を愛菜と一緒に見られて嬉しい。いやいや、フザケてない、本当だって。マジで嬉しい。だってさ、一ヶ月前は付き合ってもなかったんだよ? てか、高校卒業以来、会ってなかったし。
それが今はこうやって二人で寄り添って花火を見ている。なんか不思議だよな……。
もたれてくる愛菜の細くて小さな身体。俺が守ってやんなくちゃ、と胸が締めつけられる。
「あっ……! おそ松くん、見て! ハートの花火!」
赤色のハート型の花火が空に広がった。
「すげぇ、こんな形のもあるのな」
「うん」
二人で花火見てたら、ハートが打ち上がるって出来過ぎじゃね? こんなもん、キスするしかねーじゃん。
キス……できるか? うまくできる自信ない。あーくそっ! でもキスしたい。今しかねーよな……。
また、ハートの花火。愛菜が楽しそうに笑う。
「愛菜……」
俺は愛菜をさらに引き寄せた。
「おそ松くん?」
キスさせてくれ……。
心の中でそっと呟くと、俺は彼女に顔を近づ「あ、そろそろ、焼きそば食べる?」
愛菜が傍らに置いてあった袋を取った。
「えっ……?」
空振り。それ、このタイミングで言うぅぅ?
「ん? どうしたの?」
愛菜は、不思議そうに見上げてくる。
「…………」
「まだ食べる気分じゃないの?」
ええ、食べる気分じゃないでございます。俺はお前とキスがしたいの!