第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
ドーンッ、ドンッと身体全部が震えてしまうような大きな音。続いて真上に広がる花火。あまりに近すぎて、視界に入り切らない。目の前の空全部が花火で覆い尽くされる。
「ああっ! すごい! きれい……! 本当に……すごいよ……! ねぇっ、おそ松くん!」
こんなに大きい花火、初めて見た。真上すぎて、見上げているとすぐに首が痛くなる。焦げ臭い匂い、打ち上がるたびに風に乗って灰が飛んできた。
「本当にすげぇな……」
おそ松くんの声。
うん、本当にすごいよね。そう言いたくて、彼のほうを見る。
「え? おそ松くん……?」
すごいと言ったくせに彼は空を見上げてはいなかった。目を細め、優しく微笑みながら私を見ている。
胸が鳴る。
……おそ松くんって、本当にカッコいい。
「愛菜……」
彼はそっと私の肩に手を回した。優しく引き寄せられる。
「おそ松くん……」
「座ろっか?」
「うん……」
私たちは身体を離さず腰を下ろした。自然とおそ松くんにもたれかかる。
次々と開いては空に散っていく真夏の花。
「きれいだね……」
お前もな、とおそ松くんが小さく呟いた気がした。