第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
「そうなんだ……」
嬉しい。高校の時からそんな風に私のことを見ていてくれたのも、再会して付き合いたいと思ってくれたのも。
「愛菜は?」
「ん?」
「なんで俺と付き合ってもいいと思ったの?」
おそ松くんがじっと私を見る。フザケている時とは違い、真剣な顔。
「だって、おそ松くん、すごく一生懸命告白してくれたから……」
だから、すごく嬉しかった。素直に付き合いたいと思った。おそ松くんと一緒に楽しく毎日を過ごしたいなって。
「え〜、俺そんなに必死だった? カッコ悪くね?」
「全然! カッコよかったよ」
答えた瞬間、ドンッとお腹に響く音。
ハッとして空を見上げると、一面に花火が開いた。真っ暗だった海が明るくなる。
「花火始まった! 急げ!」
おそ松くんが手を引っ張る。
私たちは走り出した。
ドンッドンッと立て続けに大きな音が響き、次々と空に花火が打ち上がる。
「わあっ! すごい……きれい……!」
「愛菜、見たいのは分かるけど、走って! もう少しで一番近いところに行けるからっ!」
「うんっ!」
花火の合間に二人の下駄の音が軽快に弾む。
私たちは道が封鎖された場所まで辿り着いた。柵が設置され、これより先には入れないようだ。さすがにここまで花火を見に来る人は少ないらしく、カップルがちらほらいる程度。
目の前には暗い海が広がり、打ち上げ場所もしっかり見える。