第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
「おっ!? なになに? どした? 急に」
「別に……こうしたくなっただけ……」
「え〜、何だよ。イイコイイコされて、感じちゃった? お兄ちゃんとエッチしたいの? だめだよ、愛菜〜、今から花火見るんだから〜」
腕にぎゅっと力を込める。
「こうやって行く……」
おそ松くんの顔が赤くなったのが分かった。
「そか……分かった……」
「うん……」
私たちは寄り添いながら歩き始めた。おそ松くんのぬくもりが伝わってくる。
「愛菜、何食べたい?」
「何でもいいよ。おそ松くんは?」
「そうだな〜んじゃ、いくつか買って分けよう。焼きそばとたこ焼きと……甘いのも買っとくか。あと酒な」
「うんっ」
私たちは再び屋台を覗き始める。食べ物だけではなく、金魚すくいや射的もあって、子供たちが群がっている。
熱気に満ちた屋台を回り、私たちは缶のお酒と焼きそば、たこ焼き、ベビーカステラを買った。
「んじゃ、行くか」
トイレも済ませ、海に向かって港の道を歩き始める。体は離れたけど、自然と手を繋いでいた。もう日はほとんど落ち、薄暗い。
「日が落ちても暑いね」
「だな〜。少し風はあるけどな」
揺れる海を見ながら、道を進む。下駄の音がカラコロと響く。
「ねぇ、おそ松くん、なんで私と付き合おうって思ったの?」
「え〜、何だよ、急に」
「だって、一ヶ月前、いきなり告白されて……」
「嫌だった?」
「……嬉しかった」
おそ松くんは前を見ながら、ふっと笑った。
「俺は高校のときからずっと愛菜のこといいな〜って思ってたよ? でも、なかなか言う機会なかったしさぁ。一ヶ月前にたまたま愛菜と再会して、『あっ、これはもう言うしかねぇ!』て思ったから。振られるとかアレコレ考える前に、気づいたら付き合いたいって言ってた」