第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
「花火見るのって久しぶり?」
「そうだな〜……子供の時はよく見たけど……。あ、でも、そういえば去年家族で見たな。最悪な花火」
「最悪な花火?」
俺は頷いた。
「花火がさぁ、ダヨーンとデカパンなんだよ。『ダヨーン』『ホエホエ〜』って音であいつらの顔が夜空に打ち上がんの。な、最悪だろ?」
愛菜は顔をしかめた。リアルに想像してしまったようだ。
「そうだね……普通の花火がいいかな……」
「とか言って、今日もダヨーンとデカパン花火だったりしてな」
「ええーっ!? それは絶対いやっ」
俺たちがどうでもいい話をしていると、電車がホームに滑り込んできた。
「んじゃ、行くか」
手を伸ばすと、愛菜は嬉しそうに手を繋ぐ。
「うん! 行こ行こ! 楽しみだね!」
あ〜、もうほんっと、なんでカメラ持ってこなかったんだよ、俺。それかトッティにスマホ借りてこれば……って、貸してくれるわけねぇか。
こんなに可愛いのにもったいねぇ……。
俺はチラチラと愛菜の浴衣姿を見ながら、電車に乗り込んだ。