第28章 キミと浴衣で花火デート【おそ松/デート松】
今日は19時から赤塚港で水上花火大会がある。誘ったのはもちろん俺。
あ? 下心? あるよ、決まってんだろ。ひと夏の経験っていうかさ、浴衣であんなことこんなことしてみたいしさぁ。ま、人が多いから実際は無理なんだろうけど。でも、その後の妄想が捗りそうだろ?
……なんて、色々理由はつけても、結局は愛菜と花火見たいってだけなんだけどさ。
第一、俺たちはまだ付き合って1ヶ月。手を繋いだことしかない。彼女できたらすぐにセックスできるんだろって思ってたけど、実際はそんな簡単にいくわけなくて。
早くヤリたいと思う一方、やっと出来た彼女だから慎重になっている。ガッついて振られたら元も子もないし、何よりこっちは童貞だから自信ないってのもある。
「おそ松くん、今からどうする? とりあえず港まで移動する?」
愛菜が巾着袋から財布を出す。
「そうだな〜。てか、すでにちょっと足が痛ぇわ」
愛菜は改めて俺を見回した。
「おそ松くんも浴衣で来たんだね。ちゃんと下駄も履いてるし」
「そりゃ、履くだろ。でも、結構歩きにくいよな〜愛菜は平気なの?」
「実は私も足痛い。一応サンダルも持ってきてるよ」
「なんだ、愛菜も痛いんじゃねぇか」
俺たちは顔を見合わせて笑った。
「おそ松くんも靴持っていったら?」
「いいよ。邪魔になるし」
券売機で切符を買うと、俺たちはホームに降りた。ちょうど列車は行ってしまったばかりらしく誰もいない。西日が差し込むホームの上で二人は蝉の声を聞きながら団扇を仰いだ。
「ねぇ、おそ松くん」
「ん〜?」