第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】
「んぅっ、ぁあっ……来てっ……お兄さんっ……!」
「あっ、うっ、もうっ出ちゃうっ……!」
慌てて引き抜く。間一髪でぼくは愛菜のお腹の上に射精した。
白い肌の上にぼくのものをぶちまけられたまま、にっこりと見上げてくる愛菜。
「ふふっ、いっぱい出たね……気持ちよかった?」
う……またタッティ……。
「愛菜ちゃん、もう1回……だめっすか……?」
「うん、いいよ。しよ……」
本棚からティッシュの箱を取って、愛菜のお腹を拭く。改めて愛菜に覆い被さると、隣のチョロ松兄さんがガバッと起き上がった。
「え? 兄さん、起き」「もう無理! トイレ!」
チョロ松兄さんが勢いよく部屋を出ていく。
え? もしかして起きてた……?
瞬間、他の4人も一斉に起き上がった。
「の、喉! 喉乾いた! 台所行ってくる!」
「ウィンド! 夜のウィンドにあたりに屋根に!」
「う○こ、漏れたから風呂で洗ってくる……」
「あれっ? スマホの充電がッ! 充電器どこだっけ〜!?」
ドタドタと一斉に部屋を出ていくみんな。
残されたぼくと愛菜は抱き合ったまま、呆然と顔を見合わせた。
「もしかして、お兄さんたち起きてたのかな……?」
「あはっ、そうかも……」
「どうする? もう1回する?」
「する……」
みんな、ごめん。
ぼくと愛菜はまたキスを始める。
気のせいかもしれないけど、部屋の外から「押すなよ、見えねーだろ」「おそ松兄さんこそ押すなよ」なんて会話が聞こえてくる。
……たぶん、気のせいじゃないな……。
雨の音はもう聞こえない。ぼくは愛菜の温かい身体に再び身を溶かした。