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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】


「あのね、私にとって、お兄さんは公園の紫陽花みたいなものなの」

「えー、ぼくって紫陽花だったの?」
少し目が冷めたのかお兄さんは頭を浮かせて私を見る。

「お兄さんは、私のことをいつも紫陽花の影から見てるでしょ? 最初はイライラしたけど、だんだんお兄さんがいてくれるのが当たり前になってて」

「うん」

「うまく言えないけど、私にとってはお兄さんもあそこに咲いてる紫陽花の一部なの。公園に来た時になくてはならないものというか、あって当然というか。分かるかなぁ? お兄さんはね、もう風景の一部で絶対そこにいてくれないとだめなの」

「んー、なるほど、よく分かんない……。でも、分かるよ……」

お兄さんはニコニコ笑うと、私の頭を優しく撫でてくれた。『紫陽花じゃないよ、十四松でっす』とは言わなかった。

外の雨がさらに強くなった音。今頃、真っ暗な公園で紫陽花たちも雨に打たれているんだろうか。

「ねぇ、お兄さん……」

私は顔を近づけ、お兄さんの頬に唇でそっと触れた。

「っ!?」
お兄さんが固まる。

大丈夫。変な意味じゃない。ただ、紫陽花にちょっとキスしたくなっただけだから。

私はもう1回できるだけ優しくお兄さんの頬に唇をつけた。

暗闇の中で聞こえるのは、空が崩れて来たかのように激しく叩きつける雨の音だけ。

瞬間、お兄さんは私の背中に静かに腕を回し、顔をこちらに向けた。


唇が重なる。


まるで初めからそうしようと約束でもしていたかのように、私たちは迷わず舌を絡ませた。

「っ……」

雨音を聞きながら、布団の中で無言で唇を求め合う二人。

私たち、何やってるんだろう。
知らない物同士のニートとJKが、兄弟の横で夜中にキスしてるんだよ? 変なの……。

そんなことを考えながらも止められない。温かい息ととろけるような柔らかい舌。

私たちは何度もキスを繰り返した。


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