第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】
「うん……そうだよね……」
愛菜が少し淋しそうに声を落として頷いた。
「……?」
あれ? もしかして、愛菜、がっかりしてる? なんで?
そりゃ、ぼくもがっかりした。変な意味じゃなくて、愛菜の隣で寝たいなって普通に思った。でも、愛菜ががっかりするのはおかしいよね……。ぼくらと一緒になんて寝たくないだろうし。
「じゃあ、私、行くね。お兄さんたち
おやすみなさい……」
愛菜がぼくから離れ、部屋の外へ出ていく。
「「「「「「おやすみなさーい……」」」」」」
見送ったぼくらは顔を見合わせた。
「なぁ、愛菜ちゃん、がっかりしてたよな?」
おそ松兄さんがトド松に話しかける。
「まさか! あの子がボクたちと本気で寝たいと思う? きっとボクたちに合わせて、ああ言ってただけたと思うよ?」
「だよなぁ?」
一松兄さんがすくっと立ち上がって、電気の紐に手を伸ばす。
「一松、もう、電気消すの? 僕、まだ本を読みたいんだけど」
ラノベを取り出すチョロ松兄さん。
一松兄さんが鋭く睨んだ。
「ああ? またキャンペーン発動されたいのか? あ、大人しく寝ないやつは顔の上でうん○するから、そのつもりで……」
「「「「「おやすみなさーい!」」」」」
慌てて布団に潜り込むぼくら。
一松兄さんが電気を消し、部屋は暗闇に包まれた。
愛菜も電気消したかなぁ……。
ぼくは愛菜のいる部屋のほうを向いて目を閉じた。