第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】
ぼく? え、ほんとに? ぼく?
「だめ? 一番仲いいし!」
「あー……だめじゃないけど……」
まさかそんなこと言われるなんて思ってもいなかった。嬉しいけど、タッティする危険が……あと、寝相の問題が……。
「チッ、十四松兄さんかぁ」
トド松が口を尖らせる。
「ま、3万払ったのは十四松だしな」
「ノンノン、おそ松! そういうことを言ってはだめだ」
愛菜を見ると、嬉しそうにぼくを見上げてくる。こんなに人懐っこい子だっけ? 公園ではあんなにぼくに怒っていたのに……。
いつもプンプン怒ってる愛菜も悪くない。だから、守りたくてわざわざ邪魔してたわけだし。でも、今の素直な愛菜もいいかな、うん……。
そんなことを考えていたら、襖がまた開いた。
「こら! ニートたち! うるさいわよ!
愛菜ちゃん、隣の部屋にお布団ひいたからそっちで寝てね」
「「「「「「隣の部屋……?」」」」」」
みんなの声が揃う。
しばらく沈黙が続いた後、
「あー! だ、だよなぁ! そりゃ、さすがにこの部屋に泊まるのはねーわ!」
「フッ、レディーには安全な場所で寝てもらわないとな」
「だだだだだよねっ! さすがにこの部屋はね!」
「十四松、犯罪者にならずに済んだか……」
「なーんだ、つまんなーい。こっそりスマホで撮ろうかと思ったのにっ」
みんなで好き勝手言い出す。
ちらりと愛菜に目をやると、ぼくの腕にしがみついたまま、下を向いていた。
「あはっ、よかったねー! 隣の部屋のほうが落ち着くと思うよー?」
なんとなくフォローしたほうがいい気がして、できるだけ明るく話しかける。