第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】
「おい、これ、まずいんじゃないのか?」
青いパーカーのお兄さんがヒソヒソと話している。
「うん、金払ってJK買うって、犯罪だよね……」
緑のお兄さんが返した。
「金払ったってことは、何でもしてくれんの!? やべっ! お兄ちゃん、チ○コ勃ってきちゃう!」
「も〜、高校生の前で下ネタ言うのやめなよ、おそ松兄さん」
ピンクのお兄さんが嗜めた。
「あんた、ずっと玄関に突っ立っていられても邪魔だから、とにかく上がって……」
紫のお兄さんに促され、私はおずおずと上がる。
「愛菜ちゃん、こっちこっち!」
黄色いお兄さんに案内され、いつの間にか私は大きなホットプレートを囲んで、みんなと一緒に座らされていた。
・・・
「なあなあ、ちゃんと食べてる!? ほら、お兄ちゃんのお肉やるから」
「カラ松ガール、おかわりはどうだ? 足りないだろう?」
「君、細いねー普段何食べてるの? 育ち盛りにたくさん食べておかないと。大人になってから摂食障害にでもなったらどうするの? 食生活はちゃんとしないとダメだよ」
「あんた、こんな家で遠慮なんてしなくていいからどんどん食べなよ……」
「あっはー! 愛菜ちゃん、どう? 楽しい!?」
「ごめんね〜騒がしくて。びっくりしちゃうよね? 兄さんたち、いつもこんな感じだから気にしないでねっ」
次から次へと同じ顔の人たちに話しかけられる。誰が誰だか分からない。
オドオドしながらも勧められるがままに食べていると、向かいに座っていた赤いお兄さんが私をじっと見つめてきた。