第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】
「はい、着いたよー! ここ、ぼくの家!」
謎の黄色いお兄さんに案内されたのはごく一般的な家。案外普通のところに住んでるんだなと思いながら、お兄さんに付いて中に入る。
「ただいまー!」
「お邪魔します……」
途端に中からドタドタと男性がたくさん走ってきた。
「なあなあ! 今、女の子の声しなかった!?」
「じゅうしまぁつ! その子をどうしたんだ!」
「じょじょじょ女子高生!? まさか、ゆゆゆ誘拐!?」
「十四松、お前、とうとうやっちまったか……」
「十四松兄さん、何でもかんでも拾ってきちゃダメでしょ!? ちゃんと元の場所に戻してきなさい!」
私はポカンと目の前の男性たちを見つめた。
みんな同じ顔……。
「あっはー! びっくりした? ぼくたち、六つ子!」
驚いて声も出ない私を黄色いお兄さんが覗き込んでくる。
「六つ子……?」
そんな人たち、存在するんだ?
「おい、十四松、お前、本当にその子どうしたの?」
赤いパーカーを着た男性が私をジロジロと見回す。
「あっは! 3万円払ったら来てくれた!」
「「「「「はぁっ!?」」」」」
お兄さん、なんでそんな誤解されるような説明を……。
「あらまあ、可愛いお客さん。どうぞ上がっていって。今日ちょうど焼き肉だし」
奥からお母さんらしき女性が出てきた。
「あ、あの……」
「ごめんなさいねぇ。男ばかりでむさ苦しくて。遠慮しなくていいわよ?」
「は、はい……」
優しい笑顔を向けられ、思わず私は頷いた。