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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第27章 ぼくは紫陽花(あじさい)【十四松】


「あっれー? 愛菜? こんなところで何してるのー? 早く家に帰らないとお母さんがまた怒るよー?」
わざと大声で話し掛ける。

「はっ?」
愛菜がぎょっと振り向いた。おっさんも顔を上げる。

「愛菜、その人誰? お兄ちゃんにも紹介してくれるー?」
ぼくは何食わぬ顔でさらに畳み掛けた。

「お、お兄さん……?」
おっさんの顔からみるみる血の気が引いていく。

「あっは! どうもー! 兄の十四松でっす。いつも愛菜がお世話になっていマシーン軍団!」

笑顔で挨拶すれば、おっさんはもう逃げ腰。数歩、後退る。

「あ……えーっと……今日のところは……失礼します……」

「は!? ちょっと待って! 違うから!」
愛菜が慌てておっさんにすがりつく。

「あれー? もしかして、うちの愛菜と何かしようとしてましたー? 未成年って分かってますよねー? あっは! 通報してもいいのかなー? 携帯電話……」

電話を探すふりをしてポケットに手を突っ込むと、おっさんは愛菜を振り払った。

「冗談じゃない! なんで食事するだけで通報されなきゃいけないんだ!」

「でも、オプションで何かしようとしてましたよねー? あ、電話しなくても公園の目の前に警察署あったっけー?」

「やめてくれ! 妻も子供もいるんだ! 本当に俺は何もしてないからな!」

「違う! 待って!」
愛菜が追いかけようとする。

おっさんは転びながら大慌てで公園を出ていった。


後に残ったのは、ひと仕事終えて満足なぼくと今にも爆発しそうな不満顔の愛菜。

相変わらず雨は強く降り、彼女の向こうに見える紫陽花がひっそりと成り行きを見守っている。


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