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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第26章 大人の社会科見学【一松】


「はーい、みんな迷わずついてきてね〜。ちゃんと見てねぇ」
一松さんが歩き出す。


ドアの外は長い廊下が続き、見学ができるように壁はガラス張りになっていた。見下ろすと、パン作りのラインが広がり、製造工程がひと目で分かる。


「わあ、すごい!」


「パンがいっぱい!」
子供たちは夢中でガラスを覗き込んだ。


「せんせい、見てー! パンがどんどん流れてるよー!」
十四松くんが私の袖を引っ張る。


「すごいねー! もしかしたら、あの中のパンを十四松くんがおうちで食べるかもしれないね」


「ほんと!?」


私は屈むと十四松くんと一緒にパンを眺めた。次々と流れていく焼きたてのパン。ガラス張りなのに、美味しそうな匂いがここまで漂ってくる。


「奥田先生、おいしそうでしょ……? このパンは工場の製品の中でも一番売れるパンなんですよ……」


耳元でいきなり囁かれ、私は「きゃっ!?」と仰け反った。振り返ると、一松さんのニヤニヤした顔。


「どうしました、先生……?」


「い、いえ! すみません。一番売れているパンなんですね。道理で美味しそうだなと思いました……」


「ええ。奥田先生も朝食はパンですか……?」
一松さんが死んだような目で覗き込んでくる。


「は、はい。そうですね。大体、朝はパンです」


「ヒヒッ、そうですか……。朝はパン……朝からパン……いやらしい響きだ……。こんな可愛い先生に食べられるなんて、パンたちが羨ましいですな……」 


意味深な笑みを浮かべ、一松さんがその場を離れる。私はドキドキしながら、ふうっと息を吐いた。


びっくりした……。話す時の距離が近い人なのかしら? 


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