第5章 それでも君が好き【チョロ松】
しばらく沈黙が続いた。
「で、チョロちゃん、何の話だっけ?」
愛菜が首を傾げる。
「え……」
僕は考え込んだ。結局、僕は何を言いたかったんだ?
「あ! そうだ! だから! そもそもゴミ箱は……」
「チョロちゃん」
ふわりと僕の頬に愛菜の手が伸びてきた。柔かくて小さな手が僕の頬を撫でる。
「あ…………」
僕は思わず固まった。
「ありがとね、いつも」
にっこりしながら愛菜が言う。
ドキッとする。
あ……僕、やっぱり好きだ……この笑顔……。
鼓動が弾む。
「チョロちゃんがおうちを片付けてくれて、美味しいごはんも作ってくれるから、私、頑張って毎日仕事できてるよ?」
「あ、うん……」
「帰ってきてチョロちゃん見たら、疲れも取れるんだ〜」
「そ、そうなんだ」
そんなこと言われたら照れちゃうよ。
「うん、チョロちゃんのこと大好きだから」
愛菜の手がもう一本伸びてきて、僕の頭を両手で包む。
そのまま愛菜の顔に引き寄せられ、コツンとおでことおでこがぶつかった。