第5章 それでも君が好き【チョロ松】
「なっ、何だよ、その顔!」
愛菜は、困ったように僕を見ている。いや、なんで反論しないの? それに今、僕、いきなり大声出したよね? ひどい男だよね? なんで責めてこないの?
愛菜が悲しそうに俯いた。
「ごめんね、チョロちゃん……」
ええっ! 何でそこで素直に謝っちゃうの!? 僕が虐めてるみたいじゃん! 結局、僕が悪いの!? いや、悪いのか。ん? どっちだ? いや、悪いのはそっちだろ!?
くそ…………。
僕は立ち上がった。
「もう無理。僕、ここを出て行く」
「え?」
「これ以上、愛菜の世話にはならないよ」
「なんで?」
「どうせ仕事してるからって、僕のこと下に見てるんだろ?」
愛菜が驚いて僕を見る。
「え……。私、そんなこと思ったことないけど……」
しまった……。さすがにひどいこと言ったかな。でも、もう引き返せないぞ……。
「とっ、とにかく! 出てくから!」
僕はリビングを出ると、寝室のドアをわざと音を立てて閉め、中に篭った。
あ〜あ、僕、何してるんだろ。ってか、どうせなら、全部食べてから怒ればよかった……。残り食べたいけど、今更戻れないし!
僕はベッドに寝転がると、そのままふて寝した――。