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《おそ松さん》クズでニートな君が好き(R18)

第24章 悪魔は甘いキスがきらい【おそ松、トド松】


***


その日の夜、自室のベッドの上に座りながら、私はクッションを抱き締めた。


「甘いチョコレート」
ぼそっと呟く。


「ぐはっ!」
床に座っていたデビおそが体を折り曲げた。


「甘いケーキ」


「ぐうぅぅうっ!」
苦しそうに胸を掻きむしる。


「甘いパンケーキに甘いバウムクーヘンに甘いマカロン。和風も言っておく? 甘すぎるくらいのお汁粉」


「ぐおぉおおお!」
デビおそが頭を押さえて、ゴロゴロと転げ回る。


キスでも食べ物でも、とにかく『甘い』という言葉がついていれば嫌がるようだ。これならエクソシストがいなくても悪魔祓いできちゃうかも?


私はベッドの横の本棚から漫画を取り出した。


「この漫画、もう1回読もうかな〜。上司との恋愛物でめちゃくちゃ甘いやつ。会議室で上司に押し倒されていきなり甘いキス! からの、給湯室で隠れて甘いイチャつき! からの、ひょんなハプニングでホテルに入ってしまい、甘いひととき!」


「ぐっ……お、おい、愛菜……! それ以上は言うな……」
デビおそが震えながら私に向かって手を伸ばす。


「もうとにかく最初から最後まですごいの! どのシーンも甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘い甘いあまーい!」 


「あーー!! 分かった! 分かったから! 悪かったよ! 俺が悪かった!」


デビおそがベッドの前で正座をする。矢印型のしっぽはショボンと垂れ下がり、せわしなく動いていたはずの黒い羽根も元気がない。


「ふーん、悪かったって、何が?」
私はデビおそを睨みつけた。


「トッティのことで怒ってるんだろ!? 悪かったよ、本当に!」


その通りだ。私は怒っている。


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