第24章 悪魔は甘いキスがきらい【おそ松、トド松】
「え……?」
何が起こったのか分からず呆然とする。ゴミ箱の前に倒れたトッティは見事に気絶していた。
「はあっ、はあっ! 男のくせに『甘い』とか言うんじゃねぇよ! そんな言葉を使われたら、虫唾が走るだろうが! あー、もう! 全身、じんましんっっ!」
目の前に降りてきた悪魔がバリバリと体中を掻きむしる。どうやらデビおそがトッティを吹き飛ばしたようだ。
「ちょっと、デビおそ! トッティに何するの!? せっかく好きになってもらえそうな雰囲気だったのにぃ!」
デビおそは、服を捲ってまで、腕や足を掻いている。掻いた痕はみるみる緑色に変化した。
「あのなぁ! 俺は悪魔なの! 闇の存在なの! 甘ったるい幸せが嫌いなの!」
「でも、私の願い事を叶えてくれるんでしょ!? 私はトッティと付き合って幸せになりたいの!」
「んなもん、分かってる! でも、さすがに『甘い』って、まんまな言葉を使われちゃ我慢できねぇよ!」
苛々としっぽを振り回す。
「は? 意味が分からないんだけど……?」
デビおそは、パタパタとせわしなく羽根を動かしながら、私に人差し指を突きつけた。
「だーかーら! 俺は、『甘い』って言葉が大っっ嫌いなんだよっ!」