第24章 悪魔は甘いキスがきらい【おそ松、トド松】
「分かったー」
トッティがレジへ向かう。
私はふうっと息を吐いた。
あっぶなー。つい調子に乗って誘おうとしちゃった。でも断られたらショックだし、誘わなくてよかった。いつもよりたくさん話せたし、充分だよね、うん!
「充分じゃねぇよ!!」
いきなり頭の上から怒鳴られた。驚いて見上げると、デビおそがあぐらをかきながら、宙に浮いている。パタパタとせわしなく動く黒い羽根。
「え? デビおそ!? わざわざバイト先まで来たの!? いつも部屋でダラダラしてるくせに」
「そりゃ、早く契約を成立させたいから、そろそろ本気出さないとな。あのなぁ、なんで話すだけで満足してんだよ。俺は、トッティとエッチしろって言っただろ!?」
「そんなの無理に決まってるでしょ!?」
向かい側でドリンクを入れていたサッチンが振り向いた。
「愛菜? どうしたの!?」
「へ!? えっと、虫が! 虫がいたの!」
私はデビおその腕をバチンと叩いた。
「虫?」
不思議そうにこっちを見つめるサッチン。どうやらデビおその姿は見えていないようだ。
「あーごめん! これお願い! ゴミ捨てしてくるね!」
私は出来上がったホットサンドのプレートをサッチンに渡すと、裏口から飛び出した。
「いってーな! 悪魔叩くってどんだけ!?」
デビおそが腕をさすりながら睨んでくる。
「だって、変なこと言ってくるんだもん! 無理言わないでよ! トッティとはまだそこまで仲良くないの! 遊びに行ったこともないのに!」