第24章 悪魔は甘いキスがきらい【おそ松、トド松】
私が悪魔にした願い事。それは恋の願い。バイト先で一緒に働いているトッティこと松野トド松くんと付き合いたいという願いだ。
「あーあ、トッティと付き合えたら、もう死んでもいいのになあ」
ゴミ袋を片付けながら、確かにそう呟いた。もちろん、ただの独り言だ。
でも、次の瞬間、風が巻き起こり、黒い渦と共にこの変な悪魔が現れたのだ。スマホで瞬時にやり取りして、人工知能が人間を抜くかもとか言ってる時代に『悪魔と契約』なんてダサすぎる。なんでこんなことになっちゃったんだろう。
目の前のデビおそは、う〜んと考え込んだ。
「久しぶりの人間との契約だから、のんびり楽しもうと思ったけど、やっぱ軽い魔力じゃダメかぁ。んじゃ、手っ取り早くさっさと済ますか」
「手っ取り早く?」
デビおそは頷いた。
「そのトッティとか言うやつとエッチしろよ。体で落とせば何とかなるだろ」
「はあ!?」
「大丈夫大丈夫! サポートはするからさぁ。あ、避妊はしてね。奪うときに魂がふたつあるとめんどいから」
デビおそは、ニシシと鼻の下を擦った。
「無理! そんなの!」
「イケるって! あ、イケるっていうのは、トッティとエッチできるって意味とイクって意味を掛けてあって」「そんな解説はいらないから!」
デビおそは私の髪をさらさらと手で梳き、メガネを取り上げた。
「でも、エッチに持ち込むなら、まずは見た目だよなぁ? とりあえず、メガネはねぇな。あと、髪も黒のロングとか重苦しいからバッサリ切っちまおうぜ」